名古屋教区典礼委員会
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典礼の霊性−ミサの式次第に学ぶ(9)      神言修道会司祭 市瀬英昭

  開祭の部の締め括るのは「集会祈願」です。これは開祭の部のもっとも重要な部分であって歴史的にも最も初期の段階に属しています。公式祈願と呼ばれるのは「キリストの代理者として集会をつかさどる司祭が、聖なる民全体と会衆一同の名によって神にささげる」祈りだからです(『総則』30番)。まず、名称について。日本語では「集会祈願」となっています。刷新以前はローマ典礼に固有の「オラチオ」という語でしたが、刷新後は「コレクタ」とされました。 これは西方典礼に属するガリア典礼から取り入れられた用語で「集められたもの」を意味しています。この小さな用語変更もミサの共同体性の強調となっています。それは、この「コレクタ」が会衆の祈りと意向を「集めて」神の前に差し出す、という側面を表しているからです。次に、集会祈願の構造と内容については以下のようになっています。

  (1) 司祭の招き−「祈りましょう!」(オレームス!)。複数形の呼びかけです。
  (2) 短い沈黙−各人が心を自己に向けるため(『総則』45番)であると同時に、
        この沈黙は次にくる祈願を共同体の祈りとするための「間」ということもできます。
  (3) 祈願の本文−司式者が会衆を代表して唱える部分で、以下のような構成です。
          ―父なる神への呼びかけ
          ―過去になされた神の救いの働きの想起(アナムネーシス)
          ―アナムネーシスに基礎をおいてなされる現在と将来の願い(エピクレーシス)
          ―結びの定式(聖霊の交わり中で、キリストを通して、神へ)
  (4) 会衆の同意−アーメン!(これは私たちの祈りです!)

  具体的な例を復活の主日の集会祈願で見ておきましょう。

  「神よ(呼びかけ)、あなたは、今日、御独り子によって死を打ち砕き、永遠のいのちの門を開いてくださいました(アナムネーシス)。主イエスの復活を記念し、この神秘にあずかる私たちを、あなたの霊によって新たにし、永遠のいのちに復活させてください(エピクレーシス)。聖霊の交わりの中で、あなたとともに世々に生き、支配しておられる御子、私たちの主イエス・キリストによって(結びの定式)。アーメン!〈会衆の同意〉」。
  ローマ典礼は、簡素簡潔をその特徴としています。そしてその簡潔な祈りの言葉の中に、神と人間との出会い、神の人間への愛、人間の心からの願いが込められています。司式者は、集会祈願の重要性を心に留め、会衆の心に届くような発声、朗誦のテンポそしてその姿勢をふさわしいものとするように努めなければならないでしょう。集会祈願を含む公式祈願や奉献文の朗誦、歌唱の際には、伝統的に「オランス」と呼ばれる両手を広げる姿勢が取られます。この姿勢のシンボリズムについて『総則』は定義をしてはいませんが(シンボルは定義できない)、父なる神への全幅の信頼のうちに「祈る教会」の姿をそこに見ることが出来ます。開祭の部は、ミサ全体への導入の部分ですが、おろそかにされはなりません。この部分が祭儀全体のトーンをある意味で設定することになるからです。「神のことば」と「キリストのパン」を受け止め、分かち合うことができるよう私たちのからだを「整える」あるいは「澄ます」場が開祭の部の意義である、と言えるでしょう。
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