名古屋教区典礼委員会
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典礼の霊性−ミサの式次第に学ぶ(11)      神言修道会司祭 市瀬英昭

  ことばの典礼の中心的位置は「朗読台」です。主日には、三つの朗読があり、第一は、復活節を例外として、旧約聖書から、第二は、使徒書簡から、そして最後は福音書からの朗読となります。典礼刷新によって、ローマ典礼に三つの朗読という本来の姿が取り戻されました。特に旧約聖書からの朗読が回復させられたことは、神の救いの働きの一貫性を示すものとして重要となります。イスラエルの民をエジプトから連れ出された神、荒野でマナを降らせた神、預言者たちを通して語られた神、そして、イエスにおいてご自身を顕された神、その同じ父なる神に「いま・ここで」私たちは出会います。

   ところで、第一朗読の旧約聖書の箇所は、当日の朗読福音をよりよく理解させるようなものが選ばれています。基本的には「旧約は新約の中に隠れ、旧約は新約の中で明らかになる」(『神の啓示に関する憲章』16条)という神学に基づいています。具体的なケースをいくつか見ておきましょう。

  三つの朗読は、重要度から言えば「朗読福音書」が第一に位置し、それに合わせる仕方で、旧約聖書の箇所が選ばれます。第二朗読の使徒書簡はこれらと直接にはつながっておらず、独自に信者に具体的な生き方について語りかける部分になっています。福音朗読がことばの典礼の頂点であることは、@朗読前に会衆との対話句があること A会衆が起立すること B場合によっては蝋燭の光や献香があること、などによって視覚的、嗅覚的にも表現されます。

  @  まず、旧約が新約に伴う箇所です。イエスが宣教を開始されるマタイ4、12−23が朗読されるときには(A年第3主日)、イエスの登場を暗闇に大きな光が差し込むイメージとして示すために、イザヤ書8章の「闇の中を歩む民は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に光が輝いた」の箇所が読まれます。

  A  次に、同種の出来事の場合もあります。ペトロの召命の場面(C年第5主日)、イザヤの召命の箇所(イザヤ書6章)が対応します。

  B  また、背景を説明することもあります。イエスが安息日を相対化される、マルコ1,1−6が朗読されるときには(B年第9主日)、その安息日の掟の真の意味を示すために、申命記D,12−15の「安息日を聖とせよ」が読まれます。こうして、イエスの宣言の重大性が浮かび上がります。

  C  さらに、旧約新約がコントラストをなす場合もあります。イエスの従う者は猶予なくすぐに従うという箇所ルカ9、51−62が朗読されるときには(C年第13主日)、エリヤが自分に従うエリシャを両親に別れを告げに生かせる場面が選ばれています(I列王記19,16−20)。ここでは、イエスに従う場合の恵みの大きさ緊迫性が浮き彫りになります

  朗読配分に関しては、このような工夫がなされていますが、聖書のことばを私たちのからだに染み込ませ、私たちを変容させていくのは『朗読聖書の緒言』が繰り返すように、根本的には「聖霊による」出来事であることを忘れてはならないと思われます。
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