名古屋教区典礼委員会

探る「集会祈願」−一つの試み−
年間主日の集会祈願を解いてみる

初めに

  「聖書と典礼」か「毎日のミサ」を開いてみるとその日の聖書朗読カ所などと一緒に三つの祈願が載せられています。集会祈願 (Collect, Collecta), 奉納祈願 (Prayer over the Offerings, Super oblata) と 拝領祈願 (Prayer after Communion, Post Communionem) という名前がついています。

  ローマ・ミサ典書のミサ式次第を見ると集会祈願のことばの前に赤字で典礼注記(Rubrica) としてこう書いてあります、”Et omnes una cum sacerdote per aliquod temporis spatium in silentio orant”「会衆は司祭とともにしばらく沈黙のうちに祈る」。ラテン語の言葉を全部翻訳すると、このような意味合いが見えてきます、皆、司祭と一緒に一つの沈黙の区間を持つ、保つ、そしてその沈黙のうちに祈る。それから祈願を唱える。

  初代教会においてミサ典礼書はなくて、司式司祭はその沈黙の祈りの間に、その日のテーマ、聖書朗読の中身などを考慮してその祈りを考えました。信徒たちが心の中で願っていたことも考慮し、集め、取集しました。それでその祈りはCollect―取集―集会の祈りと言う名をつけるようになりました。そして、その祈りは祈っている心の中から自然と生まれて来ます。

  日本語訳が1969年に発行された、翻訳指針、“Comme le Prevoit” (1969) に基づいていますので必ずしも原文のラテン語を反映していません。意訳などがかなりあります。その頃の翻訳担当者はついでにでた現代語、英語とフランス語のミサ典礼書の翻訳を参照したそうです。今の翻訳指針, “Liturgiam Authenticam”(2001) の基準に適合していません。したがって解説とコメントに当たってラテン語と英語の公式訳を同時に載せて参考にします。ローマ・ミサ典礼書日本語訳決定版は“Liturgiam Authenticam”(2001)に適合することとなっていますので祈願の翻訳には大きな変化が出るのは間違いありません。

  今のローマ・ミサ典礼書に掲載されている集会祈願は主日の朗読聖書、A年の福音箇所を反映している場合は多く、そして古い(6・7世紀ころ)ミサ典礼書(Sacramentarium)から採用されたり、新しく作成されたものです。

  年間主日に限りますが、もう一回「毎日のミサ」または「聖書と典礼」を開いてみると、一つのことに気づきます。「毎日のミサ」の場合、集会祈願の祈願文のすぐ下に、括弧内に(試用C年用)と表記されています。そしてその試用祈願のあと、括弧内に(または各年共通用)と表記されており、もう一つ祈願文が印刷されています。「聖書と典礼」の場合は、裏の面に印刷されています。実はあの大きい分厚い赤いミサ典礼書には「聖書と典礼」の裏面に印刷されたものしか入っていません。そして、その(試用・C年用)、A年用、B年用のものもありますが日本語版しかなく、ラテン語版、英語版はありません。

  英語圏の国々には2011年まで二つの集会祈願もありました。が、バチカンの典礼秘跡省の指示があり、ラテン語のローマ・ミサ典礼書・第三版に載せていないものを使うことは禁止されました。第二バチカン公会議後の典礼刷新が盛んなとき各司教団に典礼についてのいろいろな工夫は委ねられ、推進された。日本の司教団も幾つかの作業班を作っていろいろ工夫をしてきました。試用版の祈願はその実りの一つです。

  ところが1970年代後半から典礼刷新に対しての不満、反発が、特に保守派の中起き、1980年代以降はバチカンの一方的な指示も増え、そういうような工夫ができなくなりました。今でもいろいろな国で典礼刷新についての理解と受け入れは分かれています。英語圏の国々に特にそうかもしれません。今、日本語のミサ典礼書は暫定版なので、試用版はまだ使いますが、続行中のローマ・ミサ典礼書の日本語決定版翻訳作業は完成しており、バチカン典礼秘跡省の承認がとれたら、折角作った試用版のものを使えなくなります。

  日本において年間週日の祈願に関して、試用版だから可能であることから、一つの工夫が施されました。今年(2016年)の「毎日のミサ」1月号、42ページを見れば日付の後に二つの注意のようなものが書いてあります。一つは朗読についてのもの、「年間第一月曜日」それで括弧内、奇数年と書いてあります。その下、祈願について年間週日@と書いてあります。司式者などの利便を考えての注意で、薦めのようなものです。

  もう少し詳しく説明しましょう。今の日本語ミサ典礼書に、年間主日祈願の次に別の祈願集あります。年間週日用のものです。日本語ミサ典礼書の編集者は年間主日祈願の34主日分中、24のものを選んで、テーマ別に集めました。年間週日にミサを捧げるとき、司式者はその週の日曜日のものを使うことができ、その日の朗読に併せて年間週日用祈願集を使うことができます。またミサ典礼書に聖人用固有などの後に載せられてある種々機会のミサの祈願からを選ぶこともできます。第三版のラテン語と英語のローマ・ミサ典礼書には種々機会のミサの祈願は豊富で68の公式祈願から選ぶことができます。その内容によって使う機会は限定しますが、それでも選択幅は本当に広いのです。

  今回の連載において年間主日の集会祈願の意味を少しでも解いて、探ってみたいと思い、「各年共通用」の集会祈願を取り上げることにしました。その祈りは、例外もありますが、基本的にA年の福音のテーマ、中身を反映していることとなっていますのでその日の福音書の情報を参考のために記しておきます。
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